せっかく導入した連結決算システム、使いこなせていますか?

監修者:公認会計士 飯塚 幸子

連結決算業務を効率化するために、多くの企業が専用のシステムを導入しています。

しかし、「システムを導入したものの、結局エクセルに頼ってしまっている」「期待したほどの業務効率化が実現できていない」という声をよく聞きます。

高額な投資をしたにもかかわらず、システムを十分に活用できていないのは、企業にとって大きな課題です。

本記事では、連結決算システムを使いこなせていない企業の共通課題を整理し、効果的な活用方法について解説します。

連結決算システムが十分に活用されていない企業の特徴

連結決算システムを導入したものの、期待した効果が得られていない企業には、以下のような共通の特徴があります。

エクセルでの手作業が依然として多い

  • システムを導入しても、エクセルでデータを加工・集計する手作業が残っている。
  • システムからエクスポートしたデータをエクセルで再編集しないと使いづらい。
  • 「システムよりもエクセルの方が慣れている」という心理的な要因で、旧来の手法が続いてしまう。

システムの設定やカスタマイズが不十分

  • 初期導入時に最適な設定ができておらず、現場の業務フローに合っていない。
  • データ連携が適切に設定されていないため、手作業が発生している。
  • 企業の成長やグループ会社の変化にシステムが対応しきれていない。

システムの操作に慣れていない

  • 担当者がシステムの操作に不慣れで、結局手作業に戻ってしまう。
  • システムのトレーニングが不足しており、機能を十分に理解できていない。
  • 社内にシステムの運用ノウハウが蓄積されておらず、担当者が変わるたびに使い方が分からなくなる。

システムの活用が一部の担当者に依存

  • 特定の担当者しかシステムを操作できないため、属人化が進んでいる。
  • 担当者の異動や退職があると、業務が滞るリスクがある。
  • 他の部門との連携がうまく取れておらず、システムを組織全体で活用できていない。

連結決算システムを効果的に活用するためのポイント

連結決算システムを十分に活用し、業務効率化を実現するためには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。

システムの運用ルールを見直す

システムを導入しただけでは、業務が効率化されるわけではありません。
企業の業務フローに合わせて、適切な運用ルールを整備する必要があります。

  • システムの設定を最適化し、手作業を減らす工夫をする。
  • 「どの業務をシステムで行い、どの業務をエクセルで行うのか」を明確にする。
  • システムのマニュアルを整備し、社内で共有することで、属人化を防ぐ。

操作トレーニングとノウハウの蓄積

システムの導入効果を最大限に引き出すには、担当者のスキル向上が欠かせません。

  • システムベンダーが提供する研修を活用し、操作スキルを向上させる。
  • 定期的な社内勉強会を開き、運用ノウハウをチームで共有する。
  • 新しい機能やバージョンアップ情報を積極的に取り入れ、常に最適な運用を目指す。

アウトソーシングを活用

社内での対応が難しい場合は、外部の専門家を活用するのも一つの選択肢です。

  • システムの設定やデータ連携の最適化をコンサルティング会社に依頼する。
  • 連結決算の一部をアウトソースし、専門家のアドバイスを受けながら運用する。
  • システムベンダーのサポートを活用し、定期的に設定の見直しを行う。

連結決算システム活用の成功事例

【事例1】 システムの設定を見直し、手作業を削減

ある企業では、連結決算システムを導入したものの、エクセルでのデータ修正作業が多く残っていました。
原因を分析したところ、システムの初期設定が適切でなく、各グループ会社のデータが正しく統合されていなかったことが判明しました。

そこで、システムの設定を見直し、データの自動集計機能を強化。
結果として、手作業の削減に成功し、決算業務のスピードが大幅に向上しました。

【事例2】 操作トレーニングの実施で属人化を解消

別の企業では、システムの操作が特定の担当者に依存しており、属人化が進んでいました。

そこで、社内研修を実施し、担当者全員がシステムを使えるようにトレーニングを強化。
業務の標準化が進み、引き継ぎの際のトラブルが減少しました。

【事例3】 アウトソーシングを活用し、効率化を実現

システムの設定やデータ管理が難しく、十分に活用できていなかった企業が、アウトソーシングを活用。
専門家による最適な設定のアドバイスを受けたことで、システムの機能をフル活用できるようになり、業務の大幅な効率化を実現しました。

まとめ

連結決算システムは、適切に活用すれば業務を大幅に効率化できる強力なツールです。
しかし、多くの企業ではシステムを十分に使いこなせておらず、導入の効果を実感できていません。

システムの活用を最大化するためには、運用ルールの見直し、操作トレーニングの実施、アウトソーシングの活用といった施策が欠かせません。

これらの取り組みを行うことで、システムを効果的に活用し、連結決算業務の効率化と精度向上を実現できるでしょう。

この機会に、自社の連結決算システムの運用状況を見直し、最適な活用方法を検討してみてはいかがでしょうか?

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