失敗しない連結会計システム選び方|主要5製品の機能を比較

監修者:公認会計士 飯塚 幸子

「グループ会社が増えて連結決算が大変」「どの連結会計システムが本当に現場で使いやすいの?」
多くの経理担当者・会計事務所が悩むこのテーマ。

この記事では、主要5製品の機能・価格・選定ポイントを徹底比較。

システム選びで失敗しないためのポイントや導入事例も、初心者にもわかりやすく解説します。

連結会計とは?
基礎知識と導入メリット

連結会計は、グループ全体の実態を正しく把握し、経営判断や外部開示に活用するための必須業務です。

しかし、子会社数や取引規模が拡大するほど業務が煩雑化します。ここで基本をおさらいしましょう。

連結会計の意味と単独決算との違い

連結会計は、親会社・子会社・関連会社の財務情報を一体化し、「グループ全体」としての経営実績を明らかにする手法です。

単独決算(個別決算)はそれぞれの会社の経営状況を示すのに対し、連結決算はグループの実像を明らかにし、投資家や金融機関などの外部ステークホルダーにとっても透明性が増します。

なぜ今「連結会計システム」導入が注目されているのか

近年はM&Aやグローバル展開の増加、IFRS(国際会計基準)や会社法対応など、連結決算業務の難易度が上がっています。

Excelや手作業だけでは集計ミスや作業遅延のリスクも高く、
業務効率化・自動化・内部統制強化のため、連結会計システムの導入が急速に進んでいます。

連結決算の流れと必要性を
わかりやすく解説

連結決算の一般的な流れは以下の通りです。

  1. 1. グループ各社の個別決算データ収集
  2. 2. グループ内取引の消去(債権債務や売上・費用の相殺)
  3. 3. 投資と資本の消去
  4. 4. 連結修正仕訳・調整
  5. 5. 連結財務諸表(BS/PL/CF)の作成・開示

 
正確な連結決算ができていないと、グループ全体の財務状況を誤って伝えてしまうリスクも。

法令遵守や信用維持の面でも、連結会計システムの重要性は高まっています。

連結会計システム選びで
絶対に押さえたい5つのポイント

システムは「安ければ良い」ではなく、自社の規模・課題・将来像に合うかが最重要。現場でありがちな失敗を避けるためのポイントを解説します。

1. 選び方の基本とよくある失敗例

  • 導入目的や課題を曖昧にしたまま決めてしまい、業務フローに合わない
  • 実際に使う現場の意見を聞かずに決定し、定着しない
  • 機能不足やサポート体制の弱さで業務が滞る

 
まずは「自社の連結業務のどこに一番負荷がかかっているのか」「今後のグループ拡大も見据えるか」など、要件の洗い出しが重要です。

2. グループ会社・子会社管理の
最適化

システムによっては、子会社データの自動収集や多階層グループ管理、海外子会社への対応度合いが大きく異なります。

「どこまで連結対象にするか」「会計基準・締め日の違いをどう吸収できるか」など、自社グループの実態に合わせて選ぶことが失敗回避のコツです。

3. 操作性・サポート体制・拡張性をチェック

  • UI(画面の分かりやすさ)や操作フロー
  • 導入から運用までのサポート・研修体制
  • 将来のグループ拡大や法改正対応、クラウド移行などの拡張性

 
現場の「定着率」を左右する部分なので、必ずトライアルやデモで体験しましょう。

4. セキュリティ・法令対応
(会社法・会計基準)

  • 会社法やIFRS等への迅速な対応
  • 権限設定や操作履歴など内部統制の強化
  • クラウド/オンプレミスごとのセキュリティ機能

 
特に上場企業やグローバル企業は「いつでも最新基準へ柔軟対応できるか」をチェック。

5. クラウド型とオンプレミス型の
違い

  • クラウド型:導入・運用コストを抑えやすく、テレワーク・多拠点利用に強い
  • オンプレミス型:自社サーバーでの厳格な運用やカスタマイズ重視に最適

 
システムの運用方針や自社ITガバナンスに合うか、IT部門も交えて検討しましょう。

主要5製品の機能・価格・
サポートを比較

ここでは、実際に導入実績の多い5製品の特徴・価格帯・サポート体制をまとめました(2024年時点公式情報を参考に要点比較)。

比較表で一目瞭然!
各システムの特徴

比較表

 
※価格や仕様は最新の公式サイト等でご確認ください。

おすすめ製品ランキングと選定理由

  1. 1. DivaSystem LCA
    →大規模・グローバル対応、上場企業多数の信頼性・自動化の強さ
  2. 2. マネーフォワード クラウド連結会計
    →クラウド特化、操作性の高さとコストパフォーマンス
  3. 3. eCA-DRIVER
    →税理士・中小グループに最適、迅速な法改正対応
  4. 4. iCAS
    →Excel慣れした現場や多様な会計基準グループ向け
  5. 5. BTrex連結会計
    →内部統制重視の国内企業向け、部門別管理やカスタマイズ力

導入実績・口コミ・専門家の見解

  • DivaSystem LCA:「決算早期化・ミス削減・海外子会社対応で社内評価が高い」
  • マネーフォワード:「クラウドなのでテレワークや複数拠点運用がスムーズ。自動仕訳や内部取引消去が直感的で初心者も安心」
  • eCA-DRIVER:「会計事務所向けで税務・法改正に迅速。OBCサポートも評判」
  • iCAS:「Excelベースで従来業務を変えたくない企業に最適」
  • BTrex:「部門別の詳細管理やカスタマイズ性が評価されている」専門家も「まず自社の課題(連結範囲・業務負荷・ガバナンス)を明確にして選定すべき」と指摘しています。

自社に最適なシステムの選び方
【シナリオ別】

  • グループ会社・海外拠点が多いDivaSystem LCA
  • 中小グループや税理士事務所eCA-DRIVER, iCAS
  • テレワークや全国拠点利用マネーフォワード
  • 自社カスタマイズや内部統制重視BTrex

実際にあった成功例・失敗例から学ぶ「選び方の落とし穴」

システム選定は「有名なものを入れる」だけではうまくいきません。実際の導入現場から学びましょう。

失敗した導入パターンとその原因

  • 現場のフローに合わず、結局Excelに逆戻り
  • サポートが弱く、トラブル解決に時間がかかる
  • グループ拡大や海外対応で機能不足に直面

成功企業が実践した
システム選定&活用術

  • 導入前に現場と経営層双方の要件を徹底ヒアリング
  • トライアル利用やサンプルデータ投入で「実業務」で検証
  • サポート体制や教育・マニュアルの整備も重視

現場担当者・経営層
インタビュー要約

「DivaSystem LCA導入後、決算の正確さと早期化が劇的に改善。海外子会社との連携もスムーズになった」

「マネーフォワードでクラウド化、拠点間のデータ収集が簡単になり、業務効率が飛躍的に向上」

連結会計システム導入の
ステップと注意点

新しいシステムを入れる際は、現場・経営層・IT部門が連携し計画的に進めることが重要です。

導入準備~運用までの流れ

  1. 1. 現状課題の洗い出し(現場ヒアリング)
  2. 2. 要件定義・製品比較・デモ体験
  3. 3. 稟議・ベンダー決定・契約
  4. 4. 導入初期設定・担当者教育・マニュアル作成
  5. 5. 本番稼働・運用開始・定着化支援

現場定着化のコツとよくある質問

  • 小規模導入から段階的に拡張(サンドボックス利用等)
  • 現場の「よくある質問」や困りごとをFAQとして蓄積
  • Q:Excel連携はできる?
      A:多くの製品でインポート/エクスポート・API連携に対応

税理士や外部専門家への
相談タイミング

自社内での知見やリソースが不足している場合、早めに公認会計士やアウトソーシング専門家へ相談しましょう。

プロのアドバイスで失敗リスクを大幅に減らせます。

よくある質問(FAQ)と
最新トレンド

連結決算対象会社の範囲は?

原則として「親会社が実質支配している子会社」全てが対象。持株比率だけでなく実質的な支配力にも注意が必要です。

連結決算に外れるケースや
任意実施のポイント

  • 重要性が乏しい子会社や一時的所有の場合、対象外となるケースあり
  • 非上場・中小グループでは任意導入も多い

AI・自動化など今後の進化

最新システムではAIによる自動仕訳・エラー検出、RPA連携、クラウドを活かしたリアルタイム集計なども普及しています。

今後ますます効率化・省人化が進むでしょう。

まとめ

連結会計システムの選定で失敗しないためには、自社の課題や業務フローをしっかり把握し、複数の製品を比較・検証することが大切です。

各システムの公式サイトや資料請求、無料トライアルを活用し、現場の声も踏まえて操作感やサポート体制を確認しましょう。

迷った場合は、専門家やアウトソーシングサービスへの相談も有効です。適切なシステム導入で、グループ経営の効率化と正確な連結決算を実現しましょう。

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