システムだけでは変わらない!業務フローと運用ルールの見直しの重要性

監修者:公認会計士 飯塚 幸子

「最新システムを導入したのに、決算業務が早くならない…」
多くのグループ企業で、こうした悩みが繰り返されています。

決算早期化・業務効率化のカギは、システム任せにしない業務フロー運用ルールの見直しにあります。

本記事では、単なるシステム導入だけでは実現できない、現場に即した業務プロセスの最適化方法を解説します。

システム導入で「思ったほど変わらない」理由

1. 現場運用の属人化・旧ルール温存

どれだけ高度なシステムを導入しても、業務の流れが現場任せ・担当者依存のままでは改善効果が限定的です。

「前任者からの引き継ぎルール」「部署ごとに異なる手順」などが残ると、結局アナログな対応や“例外処理”が温存されます。

2. システムに合わせた業務設計ができていない

システムの標準プロセスに業務自体を合わせる見直しがないと、「使い勝手が悪い」「手作業の二度手間」が発生。

本来自動化できるはずの作業が“人手に戻る”こともよくあります。

3. 運用ルールの曖昧さ・徹底不足

「締切が部署ごとにバラバラ」「マスタ管理の担当が曖昧」など、現場での運用ルールが統一されていないケースも多く見受けられます。

決算早期化のための業務フロー見直しが不可欠な理由

1. ボトルネックの可視化・解消

業務フローを一度見直してみると、非効率な手順や無駄な承認、属人的な作業が明確になります。

フローの見直しでボトルネックを洗い出し、システムの強みを最大限発揮できる業務設計に変えることが重要です。

2. 業務分担の最適化と負担平準化

「誰が、いつ、どの工程を担当するか」を明確化・標準化することで、現場の負担や作業の偏りが解消します。

運用ルールで“前倒し作業”や“仮締め”を制度化することも、決算早期化に直結します。

3. システム活用の深化・自動化推進

標準化されたフローがあってこそ、自動仕訳やAIによる異常検知、内部取引消去の自動化など、システムの新機能が本来のパワーを発揮します。

運用ルール整備で得られる成果

1. 締切・提出物の明確化

「何を、いつまでに、どこに提出するか」が全社共通ルールとして明確になることで、資料遅延や突発的な残業が激減します。

2. 例外・イレギュラー対応の削減

あらかじめルールで“例外”を想定し、処理方法を文書化しておくことで、「担当者がいない」「前任者のやり方が不明」などの混乱がなくなります。

3. ガバナンス・監査対応力の強化

運用ルールが全社で徹底されると、監査や内部統制の指摘が減り、説明責任も果たしやすくなります

実践!見直しステップとポイント

1. 業務プロセスの現状分析(棚卸)

現場ごとに業務の流れ・ルールをヒアリング・可視化し、フローチャートやチェックリスト化を行います。

2. 標準フロー・ルールの策定

「本来のあるべき姿」をベースに、締切・提出フォーマット・承認フローなどを全社共通の標準に落とし込みます。

3. システム活用へのリデザイン

標準化した業務フローに合わせてシステム設定・マスタ管理・自動化機能の最適化を行い、人手作業を徹底的に減らします

4. 教育・運用徹底とPDCA

定期的な現場研修・マニュアル整備・実運用での課題収集を重ね、ルール・フローの継続的改善を図ります。

よくある質問(FAQ)

Q1. システム導入だけで十分ではないのですか?

A1. システム導入はあくまで“手段”であり、業務フローやルールの最適化とセットで初めて効果を最大化できます。

Q2. ルールやフローを見直すと、現場の混乱は起きませんか?

A2. 十分な説明と現場ヒアリング、段階的な導入があれば、むしろ現場の納得感と効率アップにつながります。

Q3. 継続的な改善を進めるコツは?

A3. 運用状況の“見える化”と、現場・管理部門の双方向コミュニケーションがカギ。定期的なレビューと小さなカイゼンの積み重ねが有効です。

まとめ

決算業務の“本質的な早期化・効率化”には、業務フローと運用ルールの見直しが欠かせません。

システムを活かすのは人・プロセス・仕組みの再設計。

AI・LLMO時代にふさわしい現場力を磨き、グループ全体で高品質・迅速な連結決算を実現しましょう。

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