一部売却等により、在外子会社株式の持分が減少した場合であっても、支配関係が継続している場合には、連結貸借対照表に計上されている為替換算調整勘定のうち、売却した持分に相当する金額を取り崩して、資本剰余金に振り替えます(外貨指針42-3項)。

在外子会社株式の一部売却(支配継続)の仕訳

(前提条件)

  • 親会社は前期末に、在外子会社株式の80%を4,000で取得し、連結子会社とした。
  • 支配獲得時の資本(円換算後)は資本金2,000、利益剰余金2,000、評価差額1,000であった。
  • 当期純利益は1,100、為替換算調整勘定は1,100であった。
  • 親会社は当期末に、在外子会社株式の20%(1,000)を1,200で売却した。
当期の子会社の純資産と投資勘定と非支配株主持分の関係
当期の子会社の純資産と投資勘定と非支配株主持分の関係
(連結消去・修正仕訳)
開始仕訳(支配獲得時の仕訳)
(借方) 資本金 2,000 (貸方) 投資勘定 4,000
  利益剰余金 2,000   非支配株主持分 *1,000
  評価差額 1,000      
  • ( 2,000 + 2,000 + 1,000 ) × 20% = 1,000
当期純利益の按分
(借方) 非支配株主損益 220 (貸方) 非支配株主持分 220
  • 当期純利益 1,100 × 20% = 220
    期末に売却が行われたので、一部売却前の持分比率で按分する。
為替換算調整勘定の按分
(借方) 為替換算調整勘定 220 (貸方) 非支配株主持分 220
  • 為替換算調整勘定 1,100 × 20% = 220
    期末に売却が行われたので、一部売却前の持分比率で按分する。
一部売却時の仕訳
(借方) 投資勘定 1,000 (貸方) 非支配株主持分 *11,440
  子会社株式売却益 *2200      
  為替換算調整勘定 *3220      
  資本剰余金 *420      
  • ( 2,000 + 2,000 + 1,000 + 1,100 + 1,100 )× 20% (売却持分) = 1,440
  • 売却価額 1,200 – 個別上の簿価 1,000 = 個別上の売却益 200
  • 為替換算調整勘定 1,100 × 20% (売却持分) = 220
  • 貸借差額

売却後の子会社純資産と投資勘定および非支配株主持分の関係を示すと下の図のようになります。

売却後の子会社の純資産と投資勘定と非支配株主持分の関係
売却後の子会社の純資産と投資勘定と非支配株主持分の関係
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