在外子会社も国内子会社と同様に、支配獲得時に資産・負債を時価評価し、税効果控除後の時価と簿価との差額は評価差額として純資産に計上します。この時、時価評価した資産・負債と、それに対応して計上した繰延税金資産および繰延税金負債は、他の貸借対照表項目と同様に、決算時の為替相場により毎期換算を行います。それに対して、純資産の部に計上した評価差額は、支配獲得時の為替相場により換算します。つまり、純資産の部の評価差額は発生時に円貨で固定され、その後、追加取得や一部売却があっても円貨金額の修正は行いません(外貨指針37項)。

在外子会社の資産・負債の時価評価

(前提条件)

  • 親会社は、在外子会社の株式の80%(40ドル)を4,000で取得し、連結子会社とした。
  • 支配獲得時の在外子会社の資本勘定は、資本金20ドル、利益剰余金20ドルであった。
  • 支配獲得時の在外子会社の土地(簿価30ドル)の時価は40ドルであった
(在外子会社の資産・負債の時価評価)

国内子会社の場合と同様に在外子会社の資産負債を時価評価します。

土地の評価替えの仕訳
(借方) 土地 10ドル (貸方) 評価差額 10ドル
(子会社の資本勘定の換算)

次に子会社の資本勘定を換算します。この時に用いるレートは親会社の株式取得時レートです。

子会社純資産 外貨 換算レート 円貨
資本金 20ドル @100 2,000
利益剰余金 20ドル @100 2,000
評価差額 10ドル @100 1,000
  • 株式取得時レート @100 = 4,000 ÷ 40ドル
(連結消去・修正仕訳)
投資と資本の消去(支配獲得時の仕訳)

円貨に換算した財務諸表を合算した後に、投資と資本の消去仕訳を行います。

(借方) 資本金 2,000 (貸方) 投資勘定 4,000
利益剰余金 2,000 非支配株主持分 *1,000
評価差額 1,000
  • ( 2,000 + 2,000 + 1,000 ) × 20% = 1,000
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