親会社が子会社から固定資産(償却性資産)を購入した場合を例に、アップストリームにおける未実現損益の消去方法を見てみましょう。

親会社が子会社から償却性資産を購入した場合のイメージ
親会社が子会社から償却性資産を購入した場合のイメージ

この図では、子会社が簿価160の機械に利益40を付して売却し、親会社は当該機械に対して、減価償却費50を計上しています。

この場合、子会社が付した未実現利益を消去するとともに、親会社が計上した減価償却費の調整を行います。

アップストリームの場合の未実現利益の消去(償却性資産)

(前提条件)

  • 子会社は当期首に親会社に対して機械(簿価160)を200で売却した。
  • 親会社は機械について残存価額0、耐用年数4年、定額法で減価償却を行っている。
  • 親会社の子会社に対する持分比率は80%であった。
  • 各社の個別財務諸表は以下のとおりであった。
各社の財務諸表(償却性資産のアップストリーム)
(連結消去・修正仕訳)
未実現利益の消去
(借方) 固定資産売却益 40 (貸方) 機械 40
  非支配株主持分 ※18   非支配株主損益 8
  • 40 (未実現利益) × 20% (非支配株主持分比率) = 8
未実現利益の消去に伴う減価償却費の調整
(借方) 減価償却累計額 ※110 (貸方) 減価償却費 ※110
  非支配株主損益 ※22   非支配株主持分 ※22
  • 40 (未実現利益) ÷ 4年 = 10
  • 10 (減価償却費の調整) × 20% (非支配株主持分比率) = 2

棚卸資産の場合と同様に、子会社で計上されている固定資産売却益40を全額消去します。そして、そのうち8(売却益40×(1-80%))は親会社持分に相当しない部分なので、非支配株主に負担させます。

また、償却性資産の場合には、減価償却によって未実現利益の一部が実現します。

実現仕訳についても、親会社の持分以外の部分を非支配株主持分に振り替える仕訳が必要となります。

なお、翌期の開始仕訳は以下のようになります。

(連結消去・修正仕訳)
未実現利益の消去(翌期)
開始仕訳
(借方) 利益剰余金期首残高 30 (貸方) 機械 40
減価償却累計額 10
(借方) 非支配株主持分 6 (貸方) 利益剰余金期首残高 6
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