親会社が子会社から商品を仕入れ、それが期末に在庫として残っている場合を例に、アップストリームにおける未実現損益の消去方法を見てみましょう。

アップストリームのイメージ
アップストリームのイメージ

上の図は、子会社が160の商品を親会社に200で販売したケースです。この場合の連結消去・修正仕訳は以下のようになります。

アップストリームの場合の未実現利益の消去(棚卸資産)

(前提条件)

  • 子会社の当期の売上高は全額親会社に対するもののみであった。
  • 親会社の当期の仕入高は全額子会社からのみであり、期末日現在、すべて在庫として残っている。
  • 親会社の子会社に対する持分比率は80%であった。
  • 各社の個別財務諸表は以下のとおりであった。
各社の個別財務諸表

(連結消去・修正仕訳)
損益取引の消去
(借方) 売上高 200 (貸方) 売上原価 200
未実現利益の消去
(借方) 売上原価 40 (貸方) 商品 40
  非支配株主持分 ※18   非支配株主損益 8
  • 40 (未実現利益) × 20% (非支配株主持分比率) = 8

未実現利益の消去仕訳を見てください。子会社で計上した未実現利益40を全額消去するのはダウンストリームの場合と同じですが、この消去した子会社の利益の全額が親会社のものではありません。そのため、消去した未実現利益のうち、親会社の持分ではない部分は非支配株主持分に負担させる仕訳を行います。

なお、翌期の開始仕訳および実現仕訳は以下のようになります。

(連結消去・修正仕訳)
未実現利益の消去
開始仕訳
(借方) 利益剰余金期首残高 40 (貸方) 商品 40
  非支配株主持分 8   利益剰余金期首残高 8
実現仕訳
(借方) 商品 40 (貸方) 売上原価 40
非支配株主損益 8 非支配株主持分 8
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