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未実現利益の消去に係る税効果においては、売却元で発生した税金額を繰延税金資産として計上し、当該未実現利益の実現に対応させて取り崩すことになります。このときの税率は、売却年度に売却元において課税所得に適用された法定実効税率を用います。

その後、売却元に適用される税率が変更になっても、当該未実現利益に関連して認識した繰延税金資産は、税率変更の影響を受けることがないため、新たに計算しなおす必要はありません(連結税効果指針13項)。

なお、未実現利益の消去に係る将来減算一時差異の額は、売却元の売却年度における課税所得額を超えてはなりません(連結税効果指針15項)。未実現利益の消去額と売却元の課税所得額とを比較し、課税所得額の方が小さい場合には、未実現利益の消去に係る一時差異のうち、課税所得額相当部分に対してのみ、税効果を認識することになります。

未実現利益の額が課税所得よりも小さい場合

(前提条件)

  • 子会社の棚卸資産に含まれる未実現利益は200であった(売却元は親会社)。
  • 親会社の売却時の実効税率は40%である。
  • 親会社の課税所得は240である。
(連結消去・修正仕訳)
未実現利益の消去
(借方) 売上原価 200 (貸方) 商品 200
未実現利益の消去に伴う税効果
(借方) 繰延税金資産 80 (貸方) 法人税等調整額 80
  • 200 (未実現利益) × 40% = 80
    未実現利益<課税所得であるため、未実現利益全額に対して税効果を認識する。
未実現利益の額が課税所得よりも大きい場合

(前提条件)

  • 子会社の棚卸資産に含まれる未実現利益は200であった(売却元は親会社)。
  • 親会社の売却時の実効税率は40%である。
  • 親会社の課税所得は160である。
(連結消去・修正仕訳)
未実現利益の消去
(借方) 売上原価 200 (貸方) 商品 200
未実現利益の消去に伴う税効果
(借方) 繰延税金資産 64 (貸方) 法人税等調整額 64
  • 160 (課税所得) × 40% = 64
    未実現利益>課税所得であるため、課税所得相当額に対して税効果を認識する。