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連結子会社が保有する親会社株式は、企業集団で考えた場合、親会社が保有する自己株式と同様の性格であるといえます。よって、子会社による親会社株式の保有または処分は、親会社自身における自己株式の取得または処分と同様に処理します(自己株式基準15項、16項)。

子会社が保有している親会社株式は、親会社自身が保有している自己株式とあわせて連結財務諸表上の純資産の部から控除します。なお、非支配株主が存在する場合には、子会社が保有している自己株式のうち、非支配株主持分相当額については、非支配株主持分勘定から控除し、親会社持分相当額のみを自己株式として純資産の部から控除します(自己株式基準15項)。

連結子会社が親会社株式を保有している場合の仕訳

(前提条件)

  • 子会社は親会社株式1,000(取得原価)を保有している。
  • 子会社が保有する親会社株式の時価は1,200であった。
  • 実効税率は40%とする。
  • 親会社の子会社株式保有割合は80%であった。
(個別財務諸表上の仕訳)

個別財務諸表における親会社株式の貸借対照表価額は、時価があるため時価で計上する必要があります。

親会社株式の時価評価の仕訳
(借方) 親会社株式 *1200 (貸方) 繰延税金負債 *280
        その他有価証券評価差額金 *3120
  • 1,200 – 1,000 = 200
  • 200 × 40% = 80
  • 貸借差額
(連結財務諸表上の仕訳)

連結財務諸表上では、子会社が保有する親会社株式は、親会社の保有する自己株式と合わせて純資産から控除します。

そのため、まずは個別財務諸表で計上された評価差額金を、連結財務諸表上、取り消すことになります。

個別財務諸表上の時価評価の戻し
(借方) 繰延税金負債 80 (貸方) 親会社株式 200
  その他有価証券評価差額金 120      

その後、親会社株式を自己株式に振り替えます。この時、非支配株主の持分に相当する金額は、非支配株主持分から控除します。

自己株式へ振替
(借方) 自己株式(純資産) *2800 (貸方) 親会社株式 *11,000
  非支配株主持分 *3200      
  • 子会社の親会社株式の取得原価
  • 1,000 × 80% = 800 (親会社持分相当額)
  • 1,000 × 20% = 200 (非支配株主持分相当額)