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持分法適用会社の株式を売却したときに、資本のうち売却した株式に対応する持分の減少額と投資の減少額との間に生じた差額は、持分法適用会社株式の売却損益の修正として処理します。

ただし、当該差額のうち、持分法適用会社が計上しているその他の包括利益累計額(その他有価証券評価差額金など)に係る部分は、売却損益の修正に含めません。

また、のれんの未償却額のうち売却した株式に対応する部分についても、上記持分の減少額に含めて計算します(持分指針17項)。

持分法適用会社株式の一部売却の仕訳

(前提条件)

  • P社はX0年3月31日に親会社はA社株式の30%を900で取得し、持分法適用会社とした。
  • 持分法適用日のA社資本勘定は資本金1,000、利益剰余金1,000であった。
  • 持分法適用日のA社の土地(簿価600)の時価は1,400であった
  • のれんは発生年度の翌年から10年で定額法により償却する。
  • P社はX1年3月31日にA社株式の10%(簿価300)を400で売却した。
  • 一部売却日のA社資本勘定は資本金1,000、利益剰余金1,200(当期純利益200)、その他有価証券評価差額金200であった。
(持分法適用に関する仕訳)
開始仕訳(持分法適用時)
仕訳なし        
  • ただし、のれん 60 ( = 900 – (( 1,000 + 1,000 ) × 30% + ( 1,400 – 600 ) × 30% )) は認識する。

一部売却が行われたのは当期末なので、当期純利益およびその他有価証券評価差額金の当期増加高は、一部売却前の持分比率を用いて認識します。また、当期分ののれんの償却仕訳も行います。

当期純利益の認識
(借方) 投資勘定 60 (貸方) 持分法による投資損益 60
  • 当期純利益 200 × 30% = 60
その他有価証券評価差額金の認識
(借方) 投資勘定 60 (貸方) その他有価証券評価差額金 60
  • その他有価証券評価差額金 200 × 30% = 60
のれんの償却
(借方) 持分法による投資損益 6 (貸方) 投資勘定 6
  • のれん 60 ÷ 10年 = 6
一部売却前の投資勘定とA社純資産の関係
一部売却前の投資勘定とA社純資産の関係

その後、一部売却に関する仕訳を行います。

売却した株式に対応する持分の減少額と投資の減少額との間に生じた差額は、持分法適用会社株式の売却損益の修正として処理します。

ただし、当該差額のうち、持分法適用会社が計上しているその他有価証券評価差額金に係る部分は、売却損益には含めず、売却した持分に相当する額を連結財務諸表上で計上したその他有価証券評価差額金から取り崩します。

以上を踏まえると、仕訳は以下のようになります。

一部売却時の仕訳
(借方) その他有価証券評価差額金 *220 (貸方) 投資勘定 *138
  関連会社株式売却益 *318      
  • ( 当期純利益 60 + その他有価証券評価差額金 60 – のれん償却額 6 ) × 10% ÷ 30% = 38
  • その他有価証券評価差額金 60 × 10% ÷ 30% = 20
  • 貸借差額

一部売却に関する処理を図解すると、以下のようになります。

一部売却に関する仕訳のイメージ
一部売却に関する仕訳のイメージ