キャッシュフロー計算書の表示区分
キャッシュ・フロー計算書は、1会計期間における資金の増減額を営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フローの3つに区分して表示します(CF作成基準第二二1)。なお、どのような取引がそれぞれどの区分に属するかは、各企業の事業目的や決算条件等の取引慣行を考慮して決定します。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、企業が主たる営業活動を行った結果、どれくらいキャッシュ・フローが生み出されたかを表す区分です。
この区分には、営業損益取引から生じたキャッシュ・フロー、営業活動で発生した債権・債務から生じたキャッシュ・フローおよび投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フロー以外の取引から生じたキャッシュ・フローを記載します(CF作成基準第二二1①)。
営業活動によるキャッシュ・フローでは、営業取引および債権債務等から生じるキャッシュ・フローを記載した後、“小計”欄を設けて、その下に投資活動、財務活動以外の取引から生じるキャッシュ・フローを表示する形になります。
なお、投資活動、財務活動以外の取引から生じるキャッシュ・フローの例としては、災害による保険金収入、損害賠償金の支払い、巨額の特別退職金の支給などがあります(CF実務指針7項(3))。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローには、将来の利益獲得や資金運用のために、どれだけの資金を支出しまたは回収したかの情報を記載します(CF実務指針8項)。
具体的には、固定資産の取得や売却から生じるキャッシュ・フロー、有価証券の売買から生じるキャッシュ・フロー、資金の貸付け、回収から生じるキャッシュ・フローなどがこれに含まれます。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローには、営業活動や投資活動を維持するための資金調達に関する情報を記載します(CF実務指針9項)。
具体的には、借入れや社債の発行、株式の発行などによる資金の調達や、借入金の返済、社債の償還などに係るキャッシュ・フローがこれに含まれます。
なお、自己株式の売買によるキャッシュ・フローも財務活動によるキャッシュ・フローの区分に表示します。
④法人税等の表示
法人税等に係るキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローの区分の小計欄の下に法人税等の支払額に記載します(CF作成基準第二二2)。
なお、事業税のうち、利益に関連するものを課税標準とするものはここに含みますが、付加価値割や資本割等の利益に関連するものを課税標準としていないものについては、法人税等の支払額には含めず、小計欄の上に含めます(CF実務指針10項)。
⑤利息及び配当金の表示
利息及び配当金の表示区分については、以下のどちらかの方法を採用することができ、毎期継続して適用する必要があります(CF実務指針11項)。
なお、利息の受取額と支払額は相殺せずに総額で表示する必要があります(CF実務指針11項)。
利息及び配当金の受取額 | 利息の支払額 | 配当金の支払額 | |
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① | 営業活動 | 営業活動 | 財務活動 |
② | 投資活動 | 財務活動 | 財務活動 |