セグメント情報を開示する場合、まず報告セグメントを決定する必要があります。報告セグメントの決定は以下の手順で行われます。

  • 事業セグメントの識別
  • 事業セグメントの集約
  • 報告セグメントの決定

①事業セグメントの識別

事業セグメントとは、企業の構成単位で、次の要件のすべてに該当するものを差します(セグメント基準6項)。

事業セグメント識別のフローチャート
事業セグメント識別のフローチャート

まずはこの要件にあてはまるかどうかを考え、事業セグメントとすべきものを識別します。ただし、新たな事業を立ち上げたときのように、現時点では収益を獲得していない事業活動を事業セグメントとして識別する場合もあります。

なお、企業の本社または特定の部門のように、企業を構成する一部であっても収益を獲得していない、または付随的な収益を獲得するにすぎない構成単位は、事業セグメントまたは事業セグメントの一部とはなりません(セグメント基準7項)。

②事業セグメントの集約

次に①で識別された事業セグメントを集約するか否かを検討します。

複数の事業セグメントが次の要件のすべてを満たす場合、企業は当該事業セグメントを1つの事業セグメントに集約することができます(セグメント基準11項)。

事業セグメントの集約基準
事業セグメントの集約基準

③報告セグメントの決定

識別した事業セグメントまたは集約した事業セグメントのうち、どれを報告セグメントにするかを決定します。

企業は、次のいずれかを満たす事業セグメントまたは集約した事業セグメントを報告セグメントとして開示しなければなりません(セグメント基準12項)。

  • 売上高(事業セグメント間の内部売上高または振替高を含む)が、すべての事業セグメントの売上高の合計額の10%以上であること(売上高には役務収益を含む)
  • 利益または損失の絶対値が、①利益の生じているすべての事業セグメントの利益の合計額、または②損失の生じているすべての事業セグメント損失の合計額の絶対値のいずれか大きい額の10%以上であること
  • 資産が、すべての事業セグメントの資産の合計額の10%以上であること

また、報告セグメントの外部顧客への売上高の合計額が連結損益計算書または個別損益計算書の売上高の75%未満である場合には、損益計算書の売上高の75%以上が報告セグメントに含まれるまで、報告セグメントとする事業セグメントを追加して識別する必要があります(セグメント基準14項)。

報告セグメントの決定(量的基準)
報告セグメントの決定(量的基準)

なお、量的基準のいずれにも満たない事業セグメントを、報告セグメントとして開示しても問題はありません(セグメント基準12項)。

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