持分法適用会社の株式を追加取得したときに、持分法適用会社の資本のうち追加取得した株式に対応する持分と追加投資額との間に生じた差額は、のれん又は負ののれんとして処理します(持分指針16項)。

なお、このときの持分法適用会社の資本には評価差額が含まれています。この評価差額は、非連結子会社の場合には支配獲得時の評価差額が(持分指針6項)、関連会社の場合には投資日の時価で追加取得分を評価した時の評価差額が計上されます(持分指針6-2項)。

持分法適用会社株式の追加取得時の仕訳

(前提条件)

  • P社は、X0年3月31日に親会社はA社株式の30%を900で取得し、持分法適用会社とした。
  • 持分法適用日のA社資本勘定は資本金1,000、利益剰余金1,000であった。
  • 持分法適用日のA社の土地(簿価600)の時価は1,400であった。
  • のれんは発生年度の翌年から10年で定額法により償却する。
  • X1年3月31日にP社はA社株式の10%を400で取得した。
  • 追加取得日のA社資本勘定は資本金1,000、利益剰余金1,200(うち当期純利益200)であった。
  • 追加取得日のA社の土地(簿価600)の時価は1,600であった。

X1年3月期の仕訳を見てみましょう。

(持分法適用に関する仕訳)
持分法適用時の仕訳
仕訳なし        
  • ただし、のれん60 ( = 900 – (( 1,000 + 1,000 ) × 30% + ( 1,400 – 600 ) × 30% )) は認識する。

追加取得が行われたのは当期末なので、当期純利益は追加取得前の持分比率を用いて認識します。また、当期分ののれんの償却仕訳も行います。

当期純利益の認識
(借方) 投資勘定 60 (貸方) 持分法による投資損益 60
  • 200 × 30% = 60
のれんの償却
(借方) 持分法による投資損益 6 (貸方) 投資勘定 6
  • 60 ÷ 10年 = 6

追加取得前の投資勘定とA社純資産との関係は、以下の図のようになっています。

追加取得前の投資勘定とA社純資産の関係

追加取得前の投資勘定とA社純資産の関係

追加取得時の仕訳
仕訳なし        
  • ただし、追加取得時ののれん80 ( = 400 – (( 1,000 + 1,200 ) × 10% + ( 1,600 – 600 ) × 10% )) は認識する。

追加取得後には、投資勘定とA社純資産との関係は以下のようになっています。

追加取得後の投資勘定とA社純資産の関係

追加取得後の投資勘定とA社純資産の関係

持分法適用関連会社の場合、投資日ごとに当該日の時価で資産・負債を評価します。上の設例では、追加取得日の土地の時価1,600と簿価600との差額のうち、追加取得持分10%に相当する部分を評価差額として認識し、それも含めた資本勘定と投資勘定の差額をのれんとして認識します。

LINEで送る
Pocket